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福島原発事故の真実を語った古館は、今、その名声と座を失おうとしている!パート3

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福島
■チェルノブイリ・甲状腺がんの“真実”

原発事故からの4年間。
放射線の影響による甲状腺癌は、本当になかったのか?
真相を確かめるため、私たちは、事故から28年目を迎えるチェルノブイリへ向かった。



1986年4月26日
チェルノブイリ原発の4号機が、爆発炎上。
莫大な量の放射性物質が、放出された。
かろうじて、石棺と呼ばれる分厚いコンクリートで覆ったものの、中には今も溶け落ちた核燃料が、手つかずで残されたままだ。


緊急事態省の担当者:
翌日、住民は避難させられ、これからも絶対に、誰も住む事はない。


■「甲状腺がん増加は4〜5年後」
チェルノブイリの“知見”検証

チェルノブイリ原発の周辺にあった、いくつもの町や村。
あの日、放射性物質は、容赦なく人々の元に降り注いだ。
未曾有の原発事故を経験したこの地で、
“子どもの甲状腺がん”と“被爆”の関係は、どのような結論に至ったのか?

ウクライナの首都キエフにある、内分泌代謝研究センター。
ここには、国中から、甲状腺の病気を抱える患者が集まる。
甲状腺が専門のこの機関で、特に調べ続けているのが、チェルノブイリ原発事故の当時子どもだった世代。


この男性は、現在30歳。
事故で被ばくした時は2歳だ。

Q:チェルノブイリ事故への不安は?


事故当時2歳の男性:
もちろん気にしている。
故郷は立ち入り禁止で、検問所もある。
妻も、甲状腺の手術を受けているので、気をつけないと。


原発事故のあと、異変が見え始めたのは、4〜5年後の事だった。
甲状腺がんと診断される人々が、急激に増え始めたのだ。



特に顕著だったのが子どもたち。
極めて稀なはずの子どもの甲状腺がんが、なぜ増えたのか?

当時から、研究所の所長を務めるトロンコ医師は、いち早く放射線の影響を疑い、世界に訴えた。
しかし、なかなか認めてもらえなかったという。


ウクライナ内分泌代謝研究センター ミコラ・トロンコ所長:
事故で浴びた放射線の量で、ある学者は「甲状腺がんが発症する」と言い、ある学者は「発症しない」と言った。
大論争が巻き起こった。
原爆を投下された、広島や長崎の調査データをもとにしてだ。

この時、医学会の常識とされていたのは、原爆被害を受けた広島や長崎の“知見”。
「放射線による甲状腺がんの発症は、早くても8年後以降」というものだった。

そのため、「事故後4〜5年で見つかった癌は、放射線とは関係ない」とされた。
高性能な機器で大規模な検査、つまりスクリーニングを行ったため、「もともとあった癌が多く見つかっただけだ」と。

しかし、現実は違った。


トロンコ所長:
4年で発症するとは、思ってもいなかった。
しかし、その思い込みは間違いで、子どもたちの潜伏期間はもっと短かったのだ。
様々なデータを集め、事故後4年でも発症している事を実証した。


着目したのは、甲状腺がんの原因となる放射性ヨウ素だ。
その半減期は、非常に短い。
そこで、放射性ヨウ素が消えた後に生まれた子どもたちが、殆ど発病していないのに比べ、
放射性ヨウ素が消える前に生まれていた子どもたちは、発病率が高いことを突き止めた。



こうして、事故から10年経ってようやく、子どもの甲状腺がんと放射線の因果関係が、国際機関にも認められた。
(国際原子力機関の報告 1996年)

この、チェルノブイリの“知見”。
つまり、事故後4〜5年以上に甲状腺がんが増えた事等から、
いま福島で見つかっている甲状腺癌は「被ばくが原因とは考えにくい」とされている。


取材を続ける中、気になる情報が出てきた。
原発から西へ110kmにあるコロステン。
放射能で汚染されたが、居住は許されている地域だ。



最前線に当たる、検診センター(コロステン検診センター)。
事故以来、甲状腺がんの検査は、どのように行われてきたのか?
副所長が語ってくれた。


コロステン検診センター アレクサンドル・グテーヴィチ副所長:
当時は、何の機器もなかったので、“触診”で診察するしかなかった。
1990年位に初めて、エコー診断装置や線量測定器が入り、検査の態勢ができた。


この地域に、高性能の検査機器が納入されたのは、事故から4〜5年経ってから。
“触診”だけで、癌が見逃される事はなかったのか?
実は、早い時期から、子どもの甲状腺がんが増えていた可能性はないのだろうか?


グテーヴィチ副所長:
検査機器がいいと、患者は見つかりやすい。

Q:甲状腺がんを、もっと早く発見できた?

グテーヴィチ副所長:
当然、可能だったろう。


内分泌研究センターのトロンコ所長も、事故直後の検査体制は、十分でなかったことを認める。


トロンコ所長:
当時のソ連に、高性能のエコー診断装置はなかった。
1989年か90年になって、アメリカの大富豪などから、エコー診断装置の寄贈を受けた。


それでは、
福島で、4〜5年を待たずに、早い時期から見つかっている“子どもの甲状腺がん”は、本当に“放射線”と関係ないのか?


トロンコ所長:
可能性は低い。
私たちが知る福島の線量は、僅かだ。
ただ、調査はすべきだ。
科学は、予想外のデータを提示する事がある。
28年経つが、私たちは得た回答より、疑問点の方がはるかに多い。


チェルノブイリで調査した経験もある、京都大学の今中助教は
「当時起きた事が、今の福島に重なって見える」という。


京都大学原子炉実験所 今中哲二助教:
西側のオーソリティー(権威)、日本のオーソリティーも含めて、どういう反応をしたかというと、
「広島・長崎に比べたら早すぎる」と。
また、同時に、いわゆる今でも言われている、スクリーニング効果ですよね。
「熱心に検査検診をすれば、それだけがんも見つかる」という事も言われましたけれども、
(今回)福島関係の方々は、「それは福島の事故が原因ではない」
「なぜならば、チェルノブイリに比べたら早すぎる」とおっしゃったんですよね。
それを聞いて、皆さん、20年前におっしゃった事を忘れたのかなと。


福島で起きている事態は、事故の影響なのか、そうではないのか。
だが、それを検証するための重要なデータが、実は、決定的に不足しているのだ。
かつて、詳しい検査を目指した研究者がいた。
しかし、そこにストップがかけられたという。原発事故の真実を語った古館は、今、その名声と座を失おうとしている!

 


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