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飯舘村からは即日避難を!

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2014 年7 月2 日
飯舘村放射能汚染状況調査(2014年3 月と4月)の報告
飯舘村放射能調査チーム
今中哲二、遠藤 暁、菅井益郎、小澤祥司、
林剛平、市川克樹、沢野信浩
福島第1原発事故が発生してから3年が経過した。我々のグループは、高濃度の放射能汚染を
受けた飯舘村に注目して2011 年3 月末より汚染状況の調査を継続している。今年はまず3 月
15-17 日に調査を実施したが、この冬は地元の方も記憶にないというほどの積雪で、田んぼや畑
は約40cm の雪だった(写真左)。

積雪のためこれまでと比較出来るような調査が出来なかった
ので、融雪後の4 月25-27 日、満開の桜(写真右)の中で再度の調査を実施した。


今年の調査は、2011 年3 月28−29 日、10 月5 日、2012 年3 月27−28 日に、2013 年3 月
17 日に続く第5回目である。調査した内容は、飯舘村内の主要道路を走行しながら車内での空
間線量率を測定する“村内放射線量分布調査”、飯舘村内で最も汚染の大きい長泥地区内を歩き
ながら地区内の線量率分布を測定する“長泥地区放射線量分布調査”、いくつかの定点において
土壌コアを採取し研究室に持ち帰ってガンマ線分析を行う“土壌サンプリング調査”、ならびに、
いいたてファームにおいて、ハイボリュームエアサンプラーを用いて空気中塵埃をサンプリング
し、そのフィルターを研究室でガンマ線分析を行う“空気中ダスト調査”の4つである。

簡単ながら調査結果をまとめておく。
 調査結果
 村内空間線量率分布調査(3月16 日と4月26 日)
日産の高級ワゴン車エルグランドで村内の主な道路を走りながら、定点で一旦停車しながら車
内での空間線量率を測定した。測定には、ALOKA 製のCsI ポケットサーベイメータPDR-111
2つを用い、エルグランド2列目左座席に座った今中の膝の位置での値を測定した。3 月16 日
には209 地点、4 月26 日には238 地点で車内線量率を測定した。図1は、地理情報処理ソフト
ArcGIS を使って測定値を内挿して作成した村内放射線量率マップである。

測定は車内で行って
いるため、車体と人体とで遮蔽される分、車外に比べると30%から40%小さな値である。つま
り、道路上では図1の“約5割増し”の値と言ってよい。
3月の調査では、毎時0.5μSv/h 以下の範囲は飯舘村のほぼ半分に及んでいた。
一方、4月では毎時0.5μSv/h 以下は西の端(二枚橋・須萱地区)と北東部(大倉地区)
あたりだけであり、3月には積雪の遮へい効果が大きかったことを示している。ちなみに、3 月
16 日の209 地点の平均値は0.57、最大は2.6、最小は0.11μSv/h だった。4 月26 日では、平均
1.05、最大4.35、最小0.19μSv/h だった。
Sv/h
Sv/h

今年の3 月16 日(上)と4月26 日(下)の飯舘村内放射線量率マップ.点々での
車内放射線量率測定値をGIS ソフトで内挿処理して色分けした.

2011 年3 月末以降の、積雪のないときに行った5回の調査で得られた分布の比較で
ある。図2を眺めると、放射線量は順調に減少しているように感じる。放射線量率の変化をもう
少し定量的に眺めるため、各調査での線量率分布のパラメータ値を表1にまとめた。

最初の半年
で3分の1から4分の1へと大きく下がっているものの、それ以降の下がり方は意外と小さい。
それでも、(2011 年3 月29 日に比べると)『3年たって放射線量は6分の1に減った』と言って
いいだろう。

放射線量率分布のパラメータ、μSv/h.
調査日
測定ポイ
ント数
平均値 最小値
10パーセン
タイル
メディアン
90パーセン
タイル
最大値
2011年3月29日130 6.7 1.5 2.5 5.7 15.2 20.0
2011年10月5日122 1.9 0.45 0.81 1.8 3.6 5.3
2012年3月27日139 1.8 0.29 0.65 1.6 3.5 5.5
2013年3月17日170 1.3 0.27 0.50 1.2 2.6 4.7
2014年4月26日238 1.1 0.19 0.38 0.90 2.2 4.4
2014年3月16日* 209 0.57 0.11 0.22 0.48 1.0 2.6
2014 年3 月16 日は約40cm の積雪だったが、道路上は除雪されていた.

 長泥地区の空間放射線量率分布
飯舘村でもっとも汚染の大きい長泥地区については、2012 年より“長泥十文字交差点”付近
を徒歩で周りながら、各戸の放射線量をALOKA のPDR で測定する調査を行っている。

この3年間の調査結果を示す。
この3年間の飯舘村内の放射線量率マップの推移
2011/3/29 2011/10/5 2012/3/27
μSv/h
2013/3/17 2014/4/26

長泥地区の歩行放射線サーベイ結果.上の図は地区のGoogle 航空写真.
長泥地区の放射線量は、2012 年は8〜11μSv/h、2013 年は3〜8μSv/h、2014
年は3〜6μSv/h と順調な減少傾向が認められる。
12/3/27 13/3/17
14/4/26
Sv/

 

2011 年3 月29 日の調査で30μSv/h という最大値が認められた長泥地区曲田の田んぼ
でのこの3年間の測定値の変化である。

沈着放射能組成を
土壌測定データに基づいて仮定し、2011 年3 月29 日の空間線量値30μSv/h の地点での線量率変
化を計算したものである。点線を溯って、飯舘村で放射能の大量沈着が起きた2011 年3 月15 日
18 時の値を求めると、190μSv/h となった。

積雪40cm の時(3 月16 日)の2μSv/h という値も興味深い。積雪がなくなった時(4
月26 日)が7.9μSv/h なので、積雪40cm でファクター4の遮蔽効果になっている。一方、表1
に示した車内測定では、積雪の遮蔽効果は2弱である。遮蔽効果の違いは、田んぼでは全面に雪
があったのに対し、車内測定では道路が除雪されており、道路部分の遮蔽効果がなかったことに
よる。
 エアサンプリングによる空気中放射能濃度測定
STAPLEX 社製ハイボリュームエアサンプラーを用い
て“いいたてファーム”の縁側でダストサンプリングを
実施した。

ダストを捕集したフィルターは研究室
(京都大学原子炉実験所)に持ち帰りガンマ線測定を行
い、空気中放射能濃度を算出した。サンプリングは、4
月25 日夜から翌朝、26 日の日中、26 日の夜から翌朝の
3回行った。表2に測定結果を示す。


表2.いいたてファームでの空気中放射能濃度
No サンプリン
グ開始
サンプリン
グ時間、分
平均流量
m3/分
吸入量
m3
空気中濃度、Bq/m3
Cs137 Cs134 Be7
1 4/25 20:30 600 0.475 285 0.0005 0.0001 0.006
2 4/26 7:30 690 0.34 235 0.0053 0.0016 0.010
3 4/26 21:30 540 0.35 189 0.0033 0.0011 0.011
 注:Be7(ベリリウム7:半減期53 日)は、宇宙線が大気中原子核と反応して生成する自然放射能.


エアサンプラーのモーターが消耗して性能劣化してきたのか、今回のサンプリングは流量がう
まく出なかった(以前は0.5m3/min 以上だった)。フロート式流量計も“わずかに振れる程度”
で値も少々怪しい。

とりあえず測定結果を信じるとして、表2に示すように、No.1 とNo.2 のサ
ンプリングでは、10 倍以上も空気中セシウム濃度に違いが認められた。自然放射能であるベリリ
ウム7 の濃度は2倍も違っていないので、セシウム空気中濃度が大きく変動していると思われる。


現在、飯舘村で大規模に除染関連の土木工事が進められ大量の粉塵が舞い上がっていることを考
えると、もっと詳細なエアサンプリングが必要!

限りなく降り続く放射能に、関東圏は人が住むことのできない大地と化している!

しかし、人々はこのことに気付かず位に居る!


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