新型コロナウイルスに対してファイザーとモデルナが開発したワクチンは重症化を防ぐのに非常に効果的なようだ。
だが、感染拡大の抑制にどの程度つながるのかはわかっていない。
というのは、ファイザーとモデルナの臨床試験(治験)は、ワクチンを接種した被験者のうち新型コロナウイルス感染症を発症した人の人数を数えたにすぎないからだ。
つまり、ワクチンを接種した人の中から無症状感染者が出てきて、ひそかに感染を広げる可能性は消えてない。こうした人々が他者と濃厚接触したり、マスクの着用をやめたりした場合には、その懸念はさらに強まる。
仮にワクチンを接種した人々が静かに2次感染を広げる場合があるのだとしたら、こうした人々が各地域でウイルスを拡散し続け、ワクチン接種を済ませていない人々を危険にさらすおそれがある。
ワクチンを接種してもマスクは外せない「ワクチン接種を済ませたら、もうマスクを着けなくてもよくなると考えている人は多い」。こう指摘するのは、スタンフォード大学の免疫学者ミハル・タル氏だ。
「ワクチンを接種した人がマスク着用を続ける必要があるかどうか知ることはとても大切。なぜなら、ワクチン接種を済ませた人であっても感染を広げる可能性があるからだ」
新型コロナを含むほとんどの呼吸器感染症では鼻がウイルスの主な侵入経路となる。ウイルスはそこで急速に増殖して免疫系を刺激。鼻、口、肺、胃の内側の粘膜にある種の抗体をつくり出す。
そして、同じ人間がもう一度ウイルスにさらされると、これらの抗体に加えて、ウイルスを記憶している免疫細胞が鼻腔内のウイルスをすみやかに撃退し、体のほかの部位に定着するのを防ぐ。
ところがコロナワクチンは、これとは対照的に筋肉の奥深くに注射され、血液にすばやく吸収される。血液で免疫系を刺激して抗体をつくり出すスタイルだ。発症の予防には、これで十分だろう。
ワクチン接種の時限爆弾「ADE」は本当に起きるのか? 免疫学の権威が最新データを解説 宮坂 昌之 大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授 プロフィール世界に先駆けて、ワクチン接種を進めたイスラエルや英国では、ワクチン2回接種者が感染する「ブレイクスルー感染」が次々に発生しており、感染が収束する兆しは見えない。こうした状況を見て、反ワクチン派の識者のなかには「ワクチンには感染や発症予防効果がないばかりか、むしろ感染を促進するリスクがある」と主張する向きもある。
ベストセラー『新型コロナワクチン「本当の真実」』の著者である宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授は、こうした見方に否定的だ。
それでは、ワクチン接種が進んだイスラエルや英国で起きている急激な感染拡大はなぜ起きているのだろうか。免疫学の権威が解き明かす、謎のからくりとは。
イスラエルでは、いち早く規制の完全撤廃に踏み切った photo by gettyimages
私は、感染者が排出するウイルスを雨滴に、ワクチンを、雨風を防ぐレインコートにたとえました。
社会でウイルスの大流行が起きると、厚手のトレンチコートあるいはレインコートだけでは降雨を十分に防げないことがあり、その結果、ブレイクスルー感染を起こす人が増えたのです。
以上のことをあわせて見てみると、社会的規制を一気に緩めると、世の中に降る雨の量が大きく増えてしまうことになります。
その結果、ワクチン2回接種者が社会の6割を超えていても、一部の人たちにはブレイクスルー感染が起きてしまうことになります。
ただし、ワクチン接種者が感染しても病状は軽く、重症化する人は稀です。幸い、デルタ変異株であってもワクチンには感染予防効果がまだ強く残っています。
従って、社会の中のワクチン接種率をできるだけ上げるとともに、ひとびとが引き続きマスクを着用し、三密(密集、密接、密閉)を避けて、換気を励行するなどの感染予防策を続けていけば、ブレイクスルー感染のリスクをかなり減らすことができるはずです。
急激な感染拡大はADEのためではないイスラエルの急激な感染拡大は、ADE(抗体依存性感染増強)が起きているためだと考える人もいますが、私はこれにも否定的です。
ADEは、ワクチン接種でできた悪玉抗体の影響で、接種後にウイルス感染したときに、かえって病態を悪化させてしまうというものです。実は、ADEは、新型コロナウイルスの近縁であるSARS-CoV(SARSの原因ウイルス)のワクチン開発中にも観察されています。
これまでに複数種のコロナウイルスで観察されていることから、今回の新型コロナウイルスに対するワクチン開発についてもこのような現象が起きる可能性があり、懸念されてきました。
私も、本格的なワクチン接種が始まっていなかった昨年末までは、ADEのことを懸念していましたが、現在はそうではありません。
2021年9月7日までに全世界で55億回以上のワクチン接種が行われていますが、ワクチン接種を原因とするADEが確実に発生している報告は私が知る限りありません。
米国やイスラエルではブレイクスルー感染が起きていますが、前述したとおり、感染者の半分はワクチン未接種者で、重症者、死者の多くをワクチン未接種者が占めます。
感染者の急増は、ADEのためではなく、デルタ変異株の感染性が高いためにワクチン未接種者で感染者が増えるとともに、2回接種者でもブレイクスルーが起きているためです。
米国での重症者や死亡者の多くはワクチン未接種者だった。ワシントンDCでの犠牲者追悼式典の様子 photo by gettyimagesしかし、ワクチン接種を受けて抗体を作っている人たちでは、感染率も重症化率もワクチン未接種者に比べてはるかに低いのが実情です。ADEが起きているというエビデンスはありません。
これらの抗体の一部は鼻粘膜まで循環してきて、そこでウイルスを撃退する。ただ、抗体プールからどれくらいの量の抗体が、どれくらいの速度で動員されるのかはわかっていない。
その答えが「不十分」ということであれば、ウイルスは鼻のなかで増殖し、くしゃみや呼吸によって他者に感染させる可能性が出てくる。
「これは競争だ。ウイルスの増殖のほうが速いか、免疫系の制御のほうが速いかの勝負になる」と、シアトルにあるワシントン大学の免疫学者マリオン・ペッパー氏は話す。「これはとても重要な問題だ」。
発症予防効果は高いかもしれないが…こうした理由から専門家は、鼻の中に吹き付けるインフルエンザ用の「フルミスト」や経口ポリオワクチンのような粘膜ワクチンのほうが呼吸器感染症の予防に優れているとしている。
したがって、次世代のコロナワクチンはウイルスの主な侵入経路である鼻などの気道で抗体を誘導するものとなるだろう。
筋肉内注射を行った後に、鼻と喉の粘膜で防御抗体を産生するブースターワクチンを投与する方法も考えられる。
コロナワクチンは重症化を防ぐ効果が高いことがわかっているが、これは必ずしも鼻腔内でのウイルス撃退効果を保証するものではない。
コロナが重篤な症状を引き起こす肺は、鼻や喉に比べると循環抗体がはるかに到達しやすく、そのぶん防御も容易だ。
「重い病気を防ぐのが最も簡単で、軽い病気を防ぐのはより難しく、すべての感染を防ぐのが最も難しい」とアリゾナ大学の免疫学者ディープタ・バタチャリヤ氏は話す。「発症予防効果が95%とすれば、感染予防効果は間違いなくそれを下回る」。
それでもバタチャリヤ氏などの専門家は、ワクチンの感染抑制効果に期待している。ワクチンは鼻と喉にも効果を発揮し、他者に感染を広げなくて済むレベルにまでウイルス量を抑え込むとみられるためだ。
アストラゼネカは11月に治験結果の一部を発表し、ボランティアの被験者が自ら定期的にウイルス検査を行ったところ、一定程度の感染予防効果がある
ファイザーは治験参加者の一部を対象に、Nと呼ばれるウイルスタンパク質に対する抗体を検査する予定になっている。
ワクチンはこのタンパク質と関係がないため、N抗体を調べればワクチン接種後に被験者がコロナに感染したかどうかがわかると同社広報担当のジェリカ・ピッツ氏は話す。
モデルナも治験参加者全員の血液を分析し、N抗体を検査する予定だ。モデルナの広報担当コリーン・ハッシー氏によれば、「結果が出るまでには数週間かかる見込み」という。
ワクチンが生み出す悪質な拡散者これまでの治験では血液のみが分析されてきたが、粘膜における抗体を検査すれば、抗体が鼻や口にも移動可能なのかどうかが確認できる。タル氏の研究チームは、ジョンソン・エンド・ジョンソンの治験参加者から血液と唾液の両方の検体を得て、同一人物の血液と唾液で抗体レベルにどのような違いが出てくるのか分析する計画だ。
一方、最近の研究では筋肉内注射でインフルエンザワクチンを接種した人が鼻腔内に豊富な抗体を持っていたことが示された。バタチャリヤ氏はこの結果に勇気づけられていると話す。
また、新型コロナ患者を対象にしたある研究では唾液と血液中の抗体レベルがほぼ一致していることもわかった。これは、血液中の強い免疫反応が粘膜組織も保護していることを示唆する。
他人に感染を広げるのは鼻や喉でウイルスが増殖した人に限られるとみられる。さらに、ワクチンを接種した人が感染後に症状を示さないということは、ワクチンがウイルス量の抑制につながった可能性もある。
しかし、各種研究の中には無症状者でも鼻腔内に大量のコロナウイルスを持っている場合があるとしているものもある、とアメリカ小児科学会の代表としてアメリカ疾病対策センター(CDC)の「予防接種の実施に関する諮問委員会」に参加するイボンヌ・マルドナード医師は指摘する。
コロナウイルスで世界初の再感染例となった香港の33歳男性も無症状だったが、他者に感染させるのに十分な量のウイルスを保有していた。
ワクチン接種を済ませ、ウイルスを大量に保有しながら無症状となっている人は「誤った安心感を抱いている可能性があるため、実際にはある意味で一
ワクチン接種の時限爆弾「ADE」は本当に起きるのか? 免疫学の権威が最新データを解説 宮坂 昌之 大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授 プロフィール世界に先駆けて、ワクチン接種を進めたイスラエルや英国では、ワクチン2回接種者が感染する「ブレイクスルー感染」が次々に発生しており、感染が収束する兆しは見えない。こうした状況を見て、反ワクチン派の識者のなかには「ワクチンには感染や発症予防効果がないばかりか、むしろ感染を促進するリスクがある」と主張する向きもある。
ベストセラー『新型コロナワクチン「本当の真実」』の著者である宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授は、こうした見方に否定的だ。それでは、ワクチン接種が進んだイスラエルや英国で起きている急激な感染拡大はなぜ起きているのだろうか。免疫学の権威が解き明かす、謎のからくりとは。
ワクチン接種するから感染者が増えるのではないイスラエルの最近の感染者の急増を見て、ワクチン接種自体がむしろ感染拡大を促進しているファクターだと考える人もいますが、私の意見はまったく違います。
ブレイクスルー感染が急増しているとはいえ、8月17日の時点ではイスラエルの感染者の新規感染者の半数近くがワクチン未接種者です。
イスラエルは接種可能な12歳以上の約78%は2回のワクチン接種を済ませていますが、国民全体では接種対象外となる12歳以下も含めると2回未接種者がまだ国民の4割近くおり、こうした若い世代で感染が広がっているのです(この国では12歳以下が全体の約25%を占め、12歳以下はワクチン接種をしていません。
このために、接種を完了していない人の割合がまだ4割近くもいて、12歳以下を含む未接種者では感染が起りやすくなっています)。
さらに、未接種者は、接種者よりも重症化も起りやすいために、重症者の約7割がワクチン未接種者です。
これに対して、重症者の約2割がワクチン1回接種で、わずか1割以下がワクチン2回接種者ですから、ワクチン接種者は未接種者に比べて重症化率が大きく下がっています。
反ワクチン派が言うのと大きく異なり、ワクチン接種をしているから感染者が増えているのではなく、むしろその逆で、ワクチン接種をしていない人たちの間で感染が増え、さらには重症化が起きているのです。
どうしてイスラエルでこのようなことが起きているかというと、前回(「ブレイクスルー感染、日本はイスラエルの二の舞になるのか?」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87870)に述べたように、6月1日の規制の完全撤廃で気が緩んだために感染者が急増し、彼らが排出するウイルスの量が大きく増えてしまったからです。
イスラエルでは、いち早く規制の完全撤廃に踏み切った photo by gettyimages私は、感染者が排出するウイルスを雨滴に、ワクチンを、雨風を防ぐレインコートにたとえました。
社会でウイルスの大流行が起きると、厚手のトレンチコートあるいはレインコートだけでは降雨を十分に防げないことがあり、その結果、ブレイクスルー感染を起こす人が増えたのです。
以上のことをあわせて見てみると、社会的規制を一気に緩めると、世の中に降る雨の量が大きく増えてしまうことになります。
その結果、ワクチン2回接種者が社会の6割を超えていても、一部の人たちにはブレイクスルー感染が起きてしまうことになります。
ただし、ワクチン接種者が感染しても病状は軽く、重症化する人は稀です。幸い、デルタ変異株であってもワクチンには感染予防効果がまだ強く残っています。
従って、社会の中のワクチン接種率をできるだけ上げるとともに、ひとびとが引き続きマスクを着用し、三密(密集、密接、密閉)を避けて、換気を励行するなどの感染予防策を続けていけば、ブレイクスルー感染のリスクをかなり減らすことができるはずです。
急激な感染拡大はADEのためではないイスラエルの急激な感染拡大は、ADE(抗体依存性感染増強)が起きているためだと考える人もいますが、私はこれにも否定的です。
ADEは、ワクチン接種でできた悪玉抗体の影響で、接種後にウイルス感染したときに、かえって病態を悪化させてしまうというものです。
実は、ADEは、新型コロナウイルスの近縁であるSARS-CoV(SARSの原因ウイルス)のワクチン開発中にも観察されています。
これまでに複数種のコロナウイルスで観察されていることから、今回の新型コロナウイルスに対するワクチン開発についてもこのような現象が起きる可能性があり、懸念されてきました。
私も、本格的なワクチン接種が始まっていなかった昨年末までは、ADEのことを懸念していましたが、現在はそうではありません。
2021年9月7日までに全世界で55億回以上のワクチン接種が行われていますが、ワクチン接種を原因とするADEが確実に発生している報告は私が知る限りありません。
米国やイスラエルではブレイクスルー感染が起きていますが、前述したとおり、感染者の半分はワクチン未接種者で、重症者、死者の多くをワクチン未接種者が占めます。
感染者の急増は、ADEのためではなく、デルタ変異株の感染性が高いためにワクチン未接種者で感染者が増えるとともに、2回接種者でもブレイクスルーが起きているためです。
米国での重症者や死亡者の多くはワクチン未接種者だった。ワシントンDCでの犠牲者追悼式典の様子 photo by gettyimagesしかし、ワクチン接種を受けて抗体を作っている人たちでは、感染率も重症化率もワクチン未接種者に比べてはるかに低いのが実情です。ADEが起きているというエビデンスはありません。
しかし油断は禁物ただし、ADEに対しては、今後はもう少し警戒の念をもって見ていくべきかもしれません。5月24日の『Cell』誌オンライン版で、大阪大学・免疫学フロンティア研究センターの荒瀬尚教授のグループが、ADEを引き起こす可能性のある悪玉抗体に関する興味深い論文を発表しました。新型コロナウイルス重症者の多くには、感染を促進する抗体(=私がいう悪玉抗体)が多く存在したのです。
この報告で非常に興味深いのは、この抗体がスパイクタンパク質のN-terminal domain (NTD)という領域の特定の部位に結合して、スパイクタンパク質の立体構造を変化させることによりヒトの細胞に結合しやすくすることです。これによってウイルスの感染性が高まります。
COVID-19重症者の血清中にはウイルス感染を促進する抗体が存在感染成立:スパイクタンパク質上のRBDがその立体構造を変えてヒト細胞上のアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合すると、ウイルスが細胞内に侵入して、感染が成立する。
感染促進:重症者の血清中にはスパイクタンパク質のNTDとよばれる部分に結合する抗体が存在する。 この抗体が結合すると、スパイクタンパク質の立体構造が変化して、ACE2に結合しやすくなる。このような抗体のことを感染促進性抗体(悪玉抗体)と呼ぶ。 (図は、大阪大学IFReC荒瀬グループの発表資料を元に作成)
つまり、抗体というのは単にできれば良いというわけではなく、場合によっては、かえって感染を促進するような抗体ができる可能性があるということです(ただし、どのような状況でこのような悪玉抗体が作られることになるのか、それはまだわかっていません)。
少し安心するのは、デルタ変異株であっても、善玉抗体と悪玉抗体が共存すると善玉抗体のほうが強く威力を発揮するため、ヒトの生体内ではADEは容易には起きないということです。
ただし、現在のワクチンでは、この感染促進抗体が結合する部位も抗原として使われています。
もしかすると、新たなワクチンでは、この部位をワクチンの標的から外したほうがさらに良い結果が得られるのかもしれません。
その後、荒瀬教授はさらに新しいデータを発表しています。9月8日に発表した査読前論文では、デルタ変異株に対してワクチンは依然として有効であるものの、人工的に特定の変異を4つ加えた変異株デルタ4+を作ると、ワクチン接種者から得られた抗体の効き目が大幅に弱まるとのことです。
現時点では、デルタ4+と同一の変異株は世界で検出されていませんが、うち3つの変異があるデルタ株はトルコで見つかっています。
荒瀬教授とはその後メールでやりとりしていますが、彼が心配しているのは、中和抗体が結合するエピトープ(抗原決定基)をほとんど持たずに、もっぱら感染促進抗体が結合するエピトープを持つ変異株が出現する事態です。
もし、このような変異株が現れると、ワクチン接種によって生まれた少数の悪玉抗体を中和抗体で抑えられなくなるので、ADEが起きる可能性があります。
このようなことを防ぐには、1つには、先に述べたように、感染促進抗体が認識する部位(エピトープ)をあらかじめ除いたものをワクチンの抗原とすることです。すると感染促進抗体ができにくくなります。
それと、もう1つの方法は、デルタ変異株のスパイクタンパク質を抗原としたワクチン(=デルタ株に特化したワクチン)を使うことです。
実際、すでにファイザーやモデルナは、デルタ変異株に対応した改良ワクチンの開発に着手しています。
荒瀬教授らの研究でも、デルタ変異株に対して作られた抗体は、従来株、デルタ株、デルタ4+株のいずれの感染性も抑えることを確認しているので、デルタ変異株向けのワクチンは期待が持てそうです。
はたして3回目の接種は必要か?現在のmRNAワクチンは最低でも半年、効果が減弱してもおそらく1年程度は免疫が持続すると思われますが、その後どうなるのかはワクチンによって得られる免疫記憶がどのくらい持続するかに依存します。
デルタ変異株による予想以上のブレイクスルー感染が起きているため、イスラエルは3回目にあたる追加接種、いわゆるブースター接種にいち早く踏み切っています(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114255)。
イスラエルでの結果は明らかで、60歳以上の高齢者で2回接種後5ヵ月以上経った人にブースター接種を行うことにより、新規感染者の発生率は約10分の1、重症者の発生率は約20分の1となりました。
つまり、60歳以上の高齢者では、ブースター接種は有効であり、新規感染者数、重症者数ともに抑制する効果があることがわかりました。
イスラエルではブースター摂取がはじまった。ドライブスルー接種会場での抗体検査キットの準備 photo by gettyimagesただし、これは社会的制限をすべて解除していて、感染者の頻度が日本より10倍以上高いイスラエルでの話です。これに対して、日本では、デルタ変異株の流行は収束する傾向にあります。
また、まだ若者世代には、十分にワクチンが行きわたっていません。このような状況で、慌てて一般の人々に対してブースター接種を開始すべきか私はよく考えるべきと考えています。
むしろ、個人的には2回接種者をできるだけ増やすことのほうが大事であると思います。
マスク着用、三密回避、通風・換気の励行をしていれば、イスラエルのような状況にはなりにくく、ブレークスルー感染は簡単には増えないはずです。
それに万が一、ブレークスルーが起きても2回接種者が重症化する率は非常に低いのが現実です。
以上のことから、もし日本でもブースター接種をするとすれば、本当に必要な人のみ、たとえば医療従事者、重症化リスクの高い高齢者や、持病を持つ人たちから先に行うべきでしょう。一般の人たちはその間、慌てずにこれまでどおりの感染対策を行うことで大丈夫だと思います。
それから、もう1つ考えないといけないのは副反応です。副反応は主な反応(=抗ウイルス防御反応)が形成される際に伴って起こるので、強い免疫を付与しようとすると当然、副反応の程度や頻度が高くなる可能性があります。
3回目のワクチン接種でさらに強い副反応が起きる可能性があり、これに対してはワクチンの投与量を減らすなどの対策が必要でしょう。
実際、モデルナ社のFDA(アメリカ食品衛生局)への追加接種の許可申請ではこれまでの半分の投与量(50マイクログラム)が用いられています。
これは、すでに半分量でも全量を用いた時とほぼ同等の抗体を誘導できることがわかっていて、さらにワクチンの投与量が減れば当然副反応も減ることが期待されるからです。
一方で、これまでのところ、3回接種により実際どの程度ワクチンによる感染予防効果や重症化予防効果などが改善するのかについては、予備的なデータばかりで、確たるものは示されていません。
さらに、現時点では、変異株流行によりワクチン2回接種の場合、感染予防効果が少し下がっていても重症化予防効果は相変わらず高いレベルを維持しています。
これらのことを考えると、3回目接種は焦る必要はなく、当面、医療従事者やワクチン接種によって免疫が上がらなかった高齢者や持病を持っている人に限るのが良い、と私は考えています。
日本におけるブレイクスルー感染はまだ少ないイスラエルではブレイクスルー感染が増えていますが、日本ではまだごく少数です。以下は2021年9月30日時点の和歌山県福祉保健部のデータです。和歌山県ではワクチン未接種者約28万人に対してコロナ感染をした人が約1643名、つまり、感染者はワクチンを受けていない約1000人で6人ぐらいの割合です。
これに対して、ワクチン1回接種者では感染者の割合が半減し、2回接種者では約10分の1となり、約49万人におけるコロナ感染者はわずか235人です。つまり、ブレイクスルー感染を起こしているのは約1万人に5人程度という低い頻度です。
イスラエルでも日本でも、感染の主体はデルタ変異株です。ワクチン2回接種率は、2021年10月7日時点で、イスラエルで61.48%に対して日本は62.69%です。日本は国を挙げた取り組みで、ワクチン接種率に先行したイスラエルに追いつき、ついに追い越したのです。それにしても、ワクチン接種率がほぼ同等になった両国の間で、なぜ、ブレイクスルー感染者の数がこれほど異なるのでしょうか。
私は、イスラエルでは行動制限をいち早く解除したのに対して日本では、ごく最近まで「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などの規制が継続していたため、日常生活で暴露されるウイルス量が諸外国より少なく、感染が起りにくいことが1つの理由であると考えています。実際、ブレイクスルー感染が急増しているのは、イスラエル、アメリカ、英国などワクチン接種がある程度進み、社会的制限を撤廃したところが大半を占めます。
今後の制限解除の進め方についてここで注意しなければならないのが、今後の行動制限の緩和の進め方です。イスラエル、アメリカ、イギリスのように一気に制限を解除すると、これまで起きなかったブレイクスルー感染が起きて、これらの国の二の舞になる危険があります。
日本では、まだ接種希望者にワクチン接種が行きわたっていませんから、3回目のブースター接種までには時間がかかります。デルタ変異株に対応した新しいワクチンの投入にもまだ時間がかかります。ここしばらくは、ブレイクスルー感染のリスクを見ながらゆっくりと制限緩和していく必要もあります。ワクチン2回接種者に旅行や飲食を認めるワクチン・パスポートについても、ブレイクスルー感染のリスクが高い場合は、完全に安全を保証できません。
これはPCR検査や抗原検査による陰性証明でも同様です。COVID-19の場合、症状が出る前からひとに感染させるだけでなく、感染してからも無症候の人が多いことから、全体の3割ぐらいが見落とし(=感染しているにもかかわらず検査が陰性となるケース)になるので、一度陰性であっても陰性証明にはなりません。
つまり、ワクチン・パスポートもPCR検査の陰性証明も、証明としての信憑性に問題があることを理解する必要があります。特に感染者が多い地域では、先に述べたごとく、ウイルスの"降雨量"が多いのでワクチン接種をしながら濡れる(=ブレイクスルー感染する)人が出てきます。
このような状況のもとでは、特に高齢者の方は、2回接種したからといって気を緩めてはいけません。下記のデータは、和歌山県保健福祉部が発表したデータです。高齢者施設の入居者と勤務する人をあわせた100人を対象に、ワクチン接種者の抗スパイクタンパク質の抗体量を調べたものです。
グラフを見ると、65歳以下ではおおむね良く抗体ができていますが、70歳を過ぎると、抗体産生量が下がる傾向があり、85歳以上では抗体産生量がきわめて低い人が出てきます。ただし、高齢でも抗体量の高い方もいて、かなり個人差があることがわかります。
そして、驚くべきことに一部の方ではスパイクタンパク質に対する中和抗体がほとんどできていません。ワクチンの感染予防効果は抗体の力だけではありませんが、抗体ができていない人ではT細胞の働きも低いことが予想され、COVID-19に対する防御能力が低く、ブレイクスルー感染のリスクがきわめて高い可能性が強いと思われます。
ブースター接種が必要になるとすれば、このようにワクチン2回接種後でも中和抗体価が十分に上がりきらない免疫不全者や高齢者でしょう。
COVID-19ではワクチンで誘導される中和抗体価が短期間で低下するという報告もあります。ただし、中和抗体価が感染やワクチン接種後に下がるのは、COVID-19に限らず、すべてのウイルス疾患で見られることです。中和抗体価が下がると、一般的に感染リスクが上がりますが、中和抗体価が多少下がっても、COVID – 19のようなメモリーB細胞が残っている感染症では、再度のワクチン刺激あるいは軽い再感染ですぐに抗体が急上昇し、重症化にくいとされています。
また、抗体の機能はウイルスのヒト細胞への結合能力を中和するだけではなく、ウイルスに結合した抗体がさらに血中タンパク質である補体を結合することによってウイルスを直接殺傷するようなミサイル的な役割を果たすこともあります。
さらに、ウイルスに結合した抗体の尻尾の部分(=専門用語ではFc部分)がNK細胞、マクロファージや単球などに結合して、いわゆる抗体依存性細胞傷害(=ADCC: antibody-dependent cellular cytotoxicity)を誘導することもあります。つまり、中和抗体価が低くなっても、その他の抗体が存在すればウイルスに対する防御反応はかなり維持されている可能性があります。
ワクチン接種によって、パンデミック前の平穏な日常が取り戻せるという期待もありましたが、デルタ変異株の出現によって、しばらくは、ワクチン接種者でもマスク着用や行動制限が必要な日々が続きそうです。一方で、変異株に対抗する新しいワクチンの開発も進んでおり、抗体カクテル製剤などの医薬品も登場しています。「明けない夜」はありません。忍耐強く一歩ずつ進んでいきましょう。
記事中の図表については以下の資料を参考・一部体裁を改変の上、掲載した
大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)発表「新型コロナウイルス感染を増強する抗体を発見(荒瀬 G が Cell に掲載)」(http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/20210525-1000.htm) 和歌山県福祉保健部「新型コロナウイルス感染症の 県内発生について その11・新型コロナワクチンの効果と 抗体カクテル療法」(PDF形式:https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/041200/d00203179_d/fil/kouhyou18.pdf)ここまで
新型コロナウイルスが存在することを証明した人は世界に誰一人としていません!!
それを政府も厚生労働省も「新型コロナウイルス」と呼びます!
病原体を説明することが出来ないものに対してワクチンを作れません!!
遺伝子の確認も病原体を証明しないとPCR検査も作れない!!
・グラフェンの血中濃度80%で、2年生存!!
・グラフェンの血中濃度70%で、3年生存!!
・グラフェンの血中濃度50%で、5年生存!!
DSの最終目的は、人類をVRの世界に誘導して、脳を支配して人類を自由自在に操ることである!!
誘拐された子供たちを救出する協議会 自警団を各地に設立しています。加盟者大歓迎ですが独身に限ります!! 今、立ち上がり家族を守れ!! 日本国自立なくして、子供たちの輝かしい将来はない!! TEL042-365-2728 FAX042-361-9202 サムハラ会速報 経営者募集!! 年商2.4億円純利1億円 独占事業 60年先まで仕事あり!! 仕事先・政府施設、都道府県、ジェネコン。老若男女可。 お問い合わせ TEL042-361-9072段と悪質なウイルスの拡散者になる」(マルドナード氏)。
ことを示すデータが得られたとした。