新型コロナウイルスが世界に突きつけたさまざまな激化する二つの大国、アメリカと中国の 新たな冷戦です。
新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国。
いち早く抑え込んだと宣言。
パンデミックに苦しむ国々に、医療物資などを送る“マスク外交”を展開するなど、国際社会での存在感を増しました。
一方アメリカは、感染者や死亡した人が世界最多となり、社会や経済が混乱。
被害が拡大したのは、中国が情報を隠蔽したためだと非難し、中国への圧力を高めてきました。
対立は、経済、安全保障、そして感染対策にまで及び、世界は混迷を深めています。
そして世界はどこに向かうのでしょうか。
パンデミックの中、先鋭化する米中の対立
「習近平 国家主席は、破綻した全体主義の信奉者であり、その長年の野望は中国共産主義による覇権の確立だ。
もはや両国間の根本的なイデオロギーの違いを無視できない」
歴代の政権が言及してこなかった、中国の政治体制そのものへの批判に踏み込んだのです。
アメリカのかつてないいらだちの背景には、パンデミック下にあっても、中国が安全保障や経済など様々な分野で影響力を強めていることがあります。
「一帯一路」の要衝・セルビアを巡る攻防
・マスク外交で強まる関係
米中対立の象徴的な舞台が、地政学上の要衝・バルカン半島にあります。
セルビアです。
2020年3月、セルビアは新型コロナ感染の最初のピークを迎えました。
2か月間にわたり厳しい外出制限が行われ、マスクなどの医療物資の不足に直面。
EU=ヨーロッパ連合の支援を期待しました。
しかしドイツやフランスが、医療物資をEU域外に輸出することを厳しく制限したため、EUに加盟していないセルビアは、支援を受けることができませんでした。
「欧州の連帯など存在しない。そんなものはおとぎ話だったのだ。セルビアよ、永遠なれ」
演説をするブチッチ大統領(セルビア)
会見の6日後、首都ベオグラードの空港に到着したのは、中国のチャーター機。感染症専門の医療チームが20万枚の医療用マスクと人工呼吸器を携え、降り立ちました。その後、中国が世界中で展開することになる、いわゆる「マスク外交」です。
「中国は、自分たちもまだ感染症との闘いのさなかであるにも関わらず、盟友セルビアを助けなければならないと言った。セルビアはこの優しさを決して忘れない」(ブチッチ大統領)
・約90億ドルの投資
中国は、パンデミックの前から、セルビアなどバルカン諸国に積極的な支援を行ってきました。
中国が掲げる「一帯一路」構想の一環です。「一帯一路」構想とは、中国とヨーロッパを結ぶ陸路と海路を整備し、巨大な経済圏を作ろうというもの。セルビアは、この「一帯一路」の ”ヨーロッパの玄関口”の1つとして重視されてきました。
中国からセルビアへの投資は、計画も含め約90億ドル、日本円で1兆円近い額に達するとみられています。
「一帯一路」構想に深く関わる一人、財閥トップのドラゴミル・カリッチ氏。いま、中国の国有企業とともに、ベオグラードで大規模な都市開発プロジェクトを進めています。
「我々は中国との関係を非常に重視しています。私に言わせれば、中国との協力の必要性を理解しない人は、まともだとは思えません」
カリッチ氏と親交がある、在セルビア中国大使館の陳波大使は、流ちょうなセルビア語でこう言いました。
「私たちは、技術と経験をセルビアのパートナーたちと分かち合います。中国とセルビアにとって、両国の協力関係が必ず役に立つと信じています」
中国の存在感に対抗するアメリカ外交
パンデミック下、強まる中国とセルビアの関係。
そこに割って入ったのがアメリカでした。
長年対立しているセルビアとコソボの仲介のため、ブチッチ大統領(セルビア)とホティ首相(コソボ)をホワイトハウスに招待しました。
その席で、セルビアと経済協力に関する合意文書を取り交わします。
セルビアの高速道路や鉄道の整備などインフラ事業を、アメリカが支援するという内容でした。
アメリカとセルビアが取り交わした合意文書
中国は「一帯一路」構想のもと、セルビアを縦断し、東ヨーロッパと地中海を結ぶ輸送路を開発してきました。
これに対しアメリカは、セルビアとアドリア海をつなぐ別のルートの整備を計画。中国に対抗する狙いがあると見られています。
中国とアメリカの計画ルート(青:アメリカ、赤:中国)
「セルビアはその地政学的な理由によって、中国から不釣り合いなほど多くの支援を受けてきました。この地域におけるアメリカの新たな外交戦略は、高まる中国の存在感に対抗することが動機なのです」(バルカン半島研究者ブーク・ブクサノビッチ氏)
“新たな冷戦” テクノロジーを巡る覇権争い
・企業情報や軍事機密にかかわる技術
アメリカがセルビアへの関与を深めようとするもう一つの狙いが、経済合意文書のなかに記されていました。
『信頼できない供給業者が提供する5G(ファイブ・ジー)機器の使用を禁止する』
今後の世界を左右すると言われる高速通信技術5G。セルビアは、その5Gで世界をリードする中国企業「ファーウェイ」との結びつきが強い国です。
合意文書では名指しはしなかったものの、アメリカのねらいは、セルビアからファーウェイを排除することだと見られています。
アメリカが懸念しているのは、ファーウェイが世界中に展開する5Gネットワークを通じて、軍事機密や重要な企業情報・個人情報が中国に流出することです。
ファーウェイはこうした指摘を事実無根だと否定しています。しかし、中国がハイテク兵器やサイバー空間で軍事力を急速に増強する中、アメリカは根強い不信感を抱いているのです。
「アメリカで開発された技術が、知らぬ間に他国に渡らないよう目を光らせる必要があります。
将来的に我々が世界でリーダーシップを維持できるかどうかは、現在開発中のテクノロジーで優位に立てるかどうかにかかっています」(アメリカ国防総省 国防高等研究計画局マーク・ロスカー氏)
ファーウェイ5Gが導入・導入検討されていた国
先端技術の対立が、世界を分断する
米中関係を長年分析してきた国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、テクノロジーを巡る対立は、「新たな冷戦」をもたらすと警告しています。
「先端技術の対立が極限まで進む“テクノロジー冷戦”を懸念しています。これは私が見てきた中で、最も重要な変化になりえます。
半導体を内蔵するもの全ては、米中いずれかのシステムへと分断されることになります。グローバル経済や安全保障の根幹に関わる問題なのです」
米中による規制の応酬 翻弄される日本企業
・半導体製品が出荷停止に…
テクノロジーを巡る根深い対立は、世界に深刻な影響を及ぼしています。
2020年8月、アメリカは、ファーウェイなど中国のハイテク企業の製品を使用する企業が、アメリカの政府機関と取り引きすることを禁止。
さらに翌月には、アメリカの技術が使われている半導体製品を、ファーウェイに供給することも禁止しました。
これに対し12月、中国も新たな法律、「輸出管理法」を施行しました。軍事転用が可能な製品や技術の輸出を許可制にするほか、中国の安全を脅かすと政府が判断した外国企業との取引を禁止。
違反した企業は、厳しく処罰される恐れがあります。
アメリカと中国の規制合戦
両国が繰り広げる激しい規制の応酬に、日本企業も翻弄されています。米中双方のハイテク企業に半導体などを輸出してきた、日本のグローバル企業・三菱電機。
アメリカの規制を受けて、ファーウェイに供給してきた半導体の出荷をストップせざるを得ませんでした。
2020年10月、三菱電機は、こうした状況に対応するため、「経済安全保障統括室」という新しい部署を立ち上げました。
米中の最新の情報や動向を分析。グループ企業からの相談に乗りながら、取引の中にリスクが潜んでいないか監視しています。
「今まではWTOや経済連携ルールなど、世界が話し合いで一つのルールを定め、その中で技術力を競えばよかった。これからはアメリカの制度、中国の制度をよく熟知して、グレーゾーンがどう変化していくのかきちんと検討したうえで、最善の事業戦略を計画段階から立てていく。こうした議論が非常に重要になってきている」(経済安全保障担当 日下部聡常務)
米中関係の半世紀 対立への道のり
・アメリカが進めた「関与政策」
アメリカと中国、それぞれの現在地。その起点は、今から半世紀近く前にさかのぼります。
1972年、ニクソン大統領は中国との国交正常化交渉に着手。それが、「関与政策」と呼ばれるアメリカの対中政策の始まりでした。
以来、アメリカは中国の経済発展を後押しすることで民主化を促すことを外交の基本方針としてきました。
1989年には東西冷戦が終結。唯一の超大国となったアメリカは、中国も民主化に導くことができると自信を深めていきました。
一方中国は、共産党の一党支配を変えることなく、独自の経済発展を遂げていきます。2008年のリーマンショックでは、中国は巨額の財政出動によって、疲弊した世界経済を回復させるエンジンの役割を果たし、アメリカの地位を脅かす存在となったのです。
転換点に立つ米中関係 “覇権” を巡る争い
クリントン政権で国防次官補を務めたハーバード大学のグレアム・アリソン教授は、新しい局面に入った中国との関係について、こう展望しました。
「アジアにおいて経済・安全保障の秩序を守っていたのはアメリカでした。アメリカの貢献が無ければ中国は今のように頭角を現すことはなかったでしょう。
中国に対してアメリカが、『ちょっと待て、私が提供してきた環境の中で育ったのだから、お前は私に敬意を払うべきだ』といらだつのは当然のことです」
「軍事力では、まだアメリカが圧倒的です。しかし、そのバランスが中国優位に傾きつつあるところもあります。中国の成長が頓挫するか、アメリカが二番手に甘んじるか。どちらかが起きない限り、両国のしれつな争いは続きます」
一方、中国は、現在のアメリカとの関係をどう見ているのか。
中国共産党系のメディア「環球時報」の胡錫進(こ・しゃくしん)編集長はこう語ります。
「アメリカが中国に警戒心を持っているのは、当然理解できます。しかし、中国はアメリカに『ぜひ付き合ってください、そうしないと生きられない』と頭を下げてお願いする立場ではもはやありません」
「中国にはこのような格言があります。『勢いは人より強い』――。大きな時代の流れを、人間の力で止めることはできないということです」
台湾 接近するアメリカ/いらだつ中国
・高まる軍事的緊張
大きく変わる、アメリカと中国のパワーバランス。攻防の最前線の一つが台湾です。
徹底した感染対策や情報公開によって、新型コロナウイルスをいち早く抑え込むことに成功した台湾。
市民が日常を取り戻す一方で、軍事的な緊張が高まっています。東シナ海を臨む高台で、アマチュア無線家が、台湾軍から中国軍機への警告を傍受していました。
<台湾西南2300メートル上空、あなたたちは台湾の空域に進入している。我が軍の安全に影響を及ぼしている。直ちに離れなさい>
2020年に入って中国軍は、台湾が主張する防空識別圏に頻繁に進入。
それに対して、台湾軍機による緊急発進が急増しているのです。
・台湾に急接近するアメリカ、いらだつ中国
台湾では2016年、中国への対抗姿勢を打ち出す蔡英文(さい・えいぶん)政権が誕生しました。これに対し、「1つの中国」という原則のもと、台湾を「核心的利益」と位置づけ、統一を掲げてきた中国。習近平国家主席は「台湾の将来は、国家統一にこそある」と、
「1つの中国」の原則を全面に打ち出すようになりました。さらに「我々は武力行使という選択肢も排除しない」と強い姿勢を示しています。
一方、中国との国交正常化以降、台湾とは正式な外交関係を結んでこなかったアメリカ。
しかし、米中関係が悪化する中、急速に台湾に接近するようになりました。トランプ政権は、蔡英文政権に、最新鋭のF16戦闘機や対艦ミサイルなど、過去に例のない規模で武器の売却を行ってきました。
さらに、アメリカと台湾の高官同士の行き来を促進する法律「台湾旅行法」が施行されました。
アメリカの議会に、「台湾旅行法」の成立を働きかけてきたロビー団体のトップ、コーエン・ブラウ氏は、次のように語ります。
「台湾の自由は、アメリカと世界全体の利益です。
台湾海峡の通行や物流の自由を保つためには、台湾が中国のものになってはならないのです」(FAPA台湾人公共事務会 コーエン・ブラウ事務局長)
コーエン・ブラウ氏が見せてくれた「台湾旅行法」の資料
この法律に基づき、8月には、新型コロナ対策を名目に、アザー厚生長官を派遣。
これまでで最高位の高官の訪問でした。翌月には、李登輝・元総統の告別式参加のためとして、国務省の高官・クラック国務次官を派遣。本格的な経済協力を進めようとしています。
「我々は、経済の安全保障は国家の安全保障だといつも言っています。台湾には半導体のようなハイテク事業においてとてもすばらしい仕事をする、世界をリードする企業もあるのですから」(クラック国務次官)
中国は、こうしたアメリカの動きを警戒。9月には、台湾海峡を含む海域を管轄する部隊が、「もし今日、開戦したら」というタイトルの、勇ましい動画を公開。さまざまな局面で軍事力を誇示しています。
米中の思惑に翻弄されない冷静さ
米中の対立の最前線に立つ台湾は、この状況をどう受け止めているのか?
蔡英文総統の側近で、最近まで、日本の官房副長官に当たる職を務めた姚人多(よう・じんた)氏。トランプ政権の台湾への急接近を冷静に観察。中国についても、強気一辺倒ではいられないと分析しています。
「アメリカが台湾をどのように扱うかは、アメリカの国益次第です。この点を台湾は錯覚してはいけません。
台湾への好意的な行動は、必ずしもトランプ氏や共和党が、台湾を好きだからというわけではないでしょう」
「中国の習主席は、かなり難しい状況に置かれていると思います。アメリカからのプレッシャーに直面し、国内にも様々な矛盾を抱え、香港の問題もあります。台湾はどんどん遠くへ離れていくように感じ、心中穏やかではないはずです。世界で最も深いジレンマを抱えるリーダーの一人ではないでしょうか」
インタビューの中で、姚氏は、台湾が進めてきた民主化と経済発展の歩みに自信をのぞかせました。そこには、米中のはざまでしたたかに生き抜く戦略がありました。
「台湾は今、めまぐるしく変わる国際情勢の中にあります。この状況を逆手に取り、特に経済において世界で替えのきかない存在になるべきです。そうなれば、中国をはじめ、どの国と交渉する際にも、発言の重みが増すのです」
ワクチンの開発競争と争奪戦
・パンデミックの混乱に拍車をかける米中対立
いま世界にとって最大の課題であるパンデミックへの対応。混乱に拍車をかけたのも、米中の激しい対立でした。
米中の対立は、世界の感染対策の中心的な役割を果たすWHOにも持ち込まれました。2020年7月、「WHOは中国寄りだ」として、脱退を通知。一方の中国は、新型コロナの抑え込みに成功した台湾が、WHOにオブザーバー参加することを、このパンデミックの中でも反対して阻止しました。
国際社会が感染対策で足並みをそろえられない中、パンデミックは深刻の度を増していったのです。
世界の感染状況(2020年12月4日時点)
ワクチン開発競争と広がる混乱
各国の思惑が錯そうする中、被害が拡大し続けていたブラジル。2020年12月時点での感染者数は630万人以上。南半球で最も多い感染者を出していました。
ブラジルでは、アメリカや中国、イギリスなど、各国の製薬会社がワクチンの大規模な治験を行い、開発競争を繰り広げていました。
サンパウロ州では、中国の製薬会社シノバックによる治験が行われていました。治験に参加していたのは、感染を食い止めたいと考える医療従事者たちです。
「治験に協力しなければ、ワクチンの効果は分かりません。市民のために、私たちは進んで、その役割を引き受けなければなりません」(治験に参加した医療従事者)
一方で、親米派のボルソナロ大統領は、中国製のワクチンの効果には懐疑的で、サンパウロ州が進めようとしていた中国からのワクチン購入を取り消そうとしました。
サンパウロ州では、中国製のワクチンに反対するプラカードを掲げた大規模なデモも起きています。米中の対立が、ブラジルのパンデミック対策にも影を落としているのです。
こうした中、貧困層が暮らす地区では、感染しても、治療すら受けられずに亡くなる人が、後を絶ちません。
「国や州の支援が行き届いていません。もう少しまともに機能していたら多くの命が救えたはずです。これ以上何をすればいいのかもう分かりません」(地元支援団体の医師)
中国製のワクチンに懐疑的な市民による大規模なデモの様子
ワクチンの争奪戦が始まった
異例の早さで進められたワクチン開発。アメリカでは、一部のワクチンで有効性が確認され、2020年12月から国民への接種が始まりました。
パンデミックを終息に向かわせるには、こうしたワクチンが世界に行き渡ることが重要です。
しかし、いま広がっているのは「ワクチン・ナショナリズム」と言われる現実です。先進国を中心に、主要国の間で、激しい争奪戦が始まっているのです。
対立を越えられるか 始まった模索
他人とは2メートル、米軍の新型コロナとの戦い方 警戒態勢を強化し始めた在日米軍 米海軍佐世保基地でのミーティングの様子。 ソーシャル・ディスタンシングが意識されている米軍は1918年パンデミック(スペインかぜ=インフルエンザ)の発生源とみなされている。
米国内で流行したインフルエンザは、米軍のヨーロッパ進駐によってヨーロッパに持ち込まれることになった。
そのため米軍は、常日頃からインフルエンザをはじめとする感染症には警戒態勢を維持してきている。
今回の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、トランプ政権は初期段階では楽観的であった。
一方、米軍とりわけ東アジアを担当領域とするインド太平洋軍では、感染地域への訪問制限、基地間の移動制限、他国軍関係者との交流制限などの施策を連邦政府に先立って実施した。
米軍内でも感染拡大が始まったとはいっても、出動中の軍艦は別として、軍隊といえどもコミュニティーの一員であることには変わりはない。
多くの将兵とその家族は軍事施設以外に居住しているし、米国内の基地はもちろん、日本をはじめ海外の米軍施設勤務者やその家族も私生活では周辺地域の一員である。
つまり、各国に住む米軍関係者は、日常的に周辺地域の人々と交流がある。
そのため、各国での感染確認者数の爆発的増加に伴い(不思議なことに日本はそれほどではないのだが)、米軍関係者の間でも感染拡大が確認され始めた。
新型コロナウイルス感染の水際防止を最も効率よく実施できる軍艦内でさえも、感染確認者が発生している状況だ。
米軍がパンデミックから学んだ5つの教訓【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】米軍がパンデミックから学んだ5つの教訓【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
世界保健機関(WHO)が公表している新型コロナウイルスの感染状況によれば、7月16日現在で世界の216の国と地域で、13,378,853人が感染し、580,045人が死亡している。大きな影響を受けている米国では、感染者数が3,405,494人、死亡者数が135,807人にも上り、感染者数が世界全体に対して約25%、死亡者数は約23%を占める。直近の1か月の死亡者数こそ比較的低い水準で推移しているものの、感染者数の増加にはいまだ衰えが見えていない。
米国における感染の拡大は世界規模で行動する軍にも及び、4月には空母セオドア・ルーズベルトの乗組員に感染が拡大し、事実上の任務停止に追い込まれた。
6月9日付のニューズウィークによれば、4月時点で新型コロナウイルスの陽性反応があった乗組員は1,100人を超えていて、その後の調査では約4,800人の乗組員のうち6割が抗体を持っていたことが確認された
。作戦遂行能力を判定する材料になるため、各部隊では感染者数等を公表することはないが、感染が広がれば確実に軍の戦闘力は低減する。
いまだに新型コロナウイルスの感染拡大は続いているが、アメリカン・エンタープライズ研究所のアナリストであるマッケンジー・イーグレン氏は、「米軍がパンデミックから学んだ5つの教訓」と題する短いレポートを発表した。
彼女によれば、国防総省は、米国でのパンデミック発生以降、現役軍人と国防省勤務の民間人、造船会社をはじめとする防衛関連企業、司令官の3つのグループからなる合計400万人に関する調整に奔走を余儀なくされたという。
そこから彼女が見出した5つの教訓は、次のようなものである。
在韓米軍「Safety Bubbles(安全な区域)」
パンデミックが発生した当初、国防総省が対応の遅れと混乱に悩まされたのとは対照的に、在韓米軍の対応策は軍事的に適切であり、後にライアン・マッカーシー陸軍長官をして、「国防総省の基準」と言わしめるものだった。
在韓米軍司令官ロバート・エイブラムス大将が行ったその対策には、状況を監視するための24時間365日体制のオペレーションセンターの設置、中国大陸を経由してきた隊員の追跡、それぞれの配置での健康保護条件の引き上げ、通信計画の策定、自己検疫の義務化、ウイルスの拡散に伴う追加の予防措置の実施などが含まれている。
教訓1:ベストプラクティスをより早く一律に適用
2つの全く異なる結果になった2つの艦船
空母ルーズベルトにおける感染拡大から得た教訓を生かし、ミサイル駆逐艦キッドでは短期間の検疫隔離訓練を行って感染予想能力を高め、4月に感染者が発生した際には即効性ある医療支援と検査を行い、追加の支援と検疫のために寄港させた。
これによって、入院患者は発生しなかった。
教訓2:同じ過ちを2度犯さない
社会的距離を維持した少人数集中型基礎訓練
新兵に対する基礎訓練は、社会的距離を維持した少人数集中型として、徐々に人数を増やしていった。
入隊時の平均では、新兵300から400人当たり1人の感染者が確認されたが、すべて事前のアンケートと検温によるスクリーニングで隔離し、治療した。トレーニングに際しては、健康な隊員はグループ化されて部外者との交流は制限した。
障害物訓練などでは、可能な限り社会的距離を保ち、全員にフェイスカバーを着用させた。
これらの処置によって、新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、さらに他の呼吸器感染症の蔓延も予防できた。病気による欠勤が減少したことから、毎日の訓練に参加できる新兵の数が増加した。
教訓3:常識的な手順が、インフルエンザなども含めた病気による大きな部署の崩壊を防止
テレワークによる合理化されたプロセス
パンデミックに伴って必要とされたテレワークは、仕事の多くを機密扱いとするペンタゴンにはリスクが多く、ITシステムもこれをサポートするように設計されていなかった。
このため、国防副長官は、予算編成のプロジェクトに伴ういくつかの手続き的なステップを削除することに同意した。それによって、6月に作成し、秋に更新して再提出するという機密のデータベースの提出を削減し、ハイレベルな課題の見直しのみにした。作業負荷を軽減するためのプロセスの合理化は、今後も継続するべきである。
教訓4:同じ結果を得ながらも、仕事量を減らす機会を常に模索
軍事用機械やソフトウェアを製造する重要な労働者の保護
経済への大打撃は、防衛産業基盤の多くの中小企業にも影響を与えた。これらの企業は、パンデミックによる事業停止から立ち直るだけの余裕を持っていない。
防衛産業は、弾力性よりも効率性を重視して設計されているため、主契約企業は、十分なスタッフと流動性がなければ、二次契約企業や供給企業が驚くほど早く破綻する可能性を持っていることが判明した。
3月に成立した2.2兆ドルのCARES法には、105億ドルの追加国防費が含まれており、これによって国防総省は、請負企業への支払いの前倒しや、未確定契約行為に関する制限の緩和など、防衛産業のための代替資金の運用に柔軟性を確保することができた。
教訓5:必要不可欠な仕事を救うため、早期かつ頻繁な議会とのコミュニケーション
1つ1つの教訓は、振り返ってみるとなるほどと思わせるものだが、その当時、前例のないそれらの措置を行うことにはためらいもあったと思われる。しかし、それらを実行に移した原動力は、柔軟性を持った発想と、一時も止めることができない国防という任務の遂行を追求した使命感だったのではないだろうか。
イーグレン氏が指摘するように、巨大な官僚組織である国防総省にとって、急速な変化は難しいかもしれないが、これからも柔軟性が求められる。それを可能にするためには、鋭いアフターアクションレビューと健全な戦略の立案が不可欠である。
数多くの実戦を経験してきた米軍の教訓には、学ぶべき部分も多い。国防総省に限らず防衛省においても、次の感染症の到来や、COVID-19の第2波への備えは完了しておかなければならない。
ここまで
新型コロナウイルスが存在することを証明した人は世界に誰一人としていません!!
それを政府も厚生労働省も「新型コロナウイルス」と呼びます!
病原体を説明することが出来ないものに対してワクチンを作れません!!
遺伝子の確認も病原体を証明しないとPCR検査も作れない!!
誘拐された子供たちを救出する協議会 今、立ち上がり家族を守れ!! 日本国自立なくして、子供たちの輝かしい将来はない!! 電話番号042-365-2728 FAX番号042-361-9202 東亜自警団 自警団を各地に設立しています。 加盟者大歓迎ですが独身に限ります!! TEL- FAX042-361-9072
民のための国を作ら成ればならない!!
100年先の民の暮らしを考える""
民のためならいつでも死ねる!!
民のために尽くす武士でありたい!!
天は正義に与し
神は至誠に感ず