癌異常多発の新たな事態!
福島県民健康調査委員会が新たな結果を公表。福島県が「先行調査」と呼ぶ事故後3年間の調査結果に加えて、「本格調査」と呼ぶ2014年4月以降の2巡目の検査結果の中間発表もありました。
【いわゆる「先行調査」について】
「先行調査」のデータはこれ
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96850.pdf
今回の公表で、「先行調査」で手術症例が57から84に増えました。県立医大は”手術するまでに何度も検査をしており必要ない手術はしていない、”と主張しますから、手術に至る症例は重症な症例です。(若干、患者の希望で手術をおこなうこともある、と言っています。) クリックして拡大↓
一方、細胞診をして『悪性または悪性疑い』とされた子どもは前回より4人増えて108人です。細胞診で「悪性または悪性疑い」(甲状腺がん)と判定された子どもは、ほとんど手術を受けます。(その結果、病理検査でがんと確定診断される。)検討委員会の甲状腺検査評価部会でも、県立医大・鈴木眞一は、細胞診を実施後の経過観察はごくわずかだと言っています。
そうなると、今後も手術事例は100程度まで増えるでしょう。
例えば3年間で30万人(これは「甲状腺検査の一次検査受診者数」に相当する)中に手術事例が100なら手術の割合は、
100人÷3人÷30万人×10万 = 11.1人(1年・10万人あたり)
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★ これを罹患率とするなら「1年・10万人当たり11人」となり、15歳~19歳の甲状腺がんの全国平均罹患率1.1人(1年・10万人当たり)を基準にすると、10倍の異常多発です。
★ なお、現時点で判明している患者84人を分子に、一次検査の結果確定者296586人を分母として計算すると、全国平均の8.4倍。
★ また15~19歳に限定して全国平均の罹患率(1年・10万人あたり1.1人)と比較すると、もっと罹患率の比が大きくなります。
福島県の公表データには、年齢ごとの一次検査受診者の人数が書かれていないので、正確な数字が読み取れませんが、各年齢層ごとの「一次検査対象者」/「一次検査受診者数」を見ると、15歳~19歳の間に一次検査を受診した人数を推定できます。 するとその人数は68238人、約7万人です。クリックして拡大。
罹患率は: 70人÷3年÷70000人×100000 = 33.3人(1年・10万人あたり)
同年齢階層の全国平均と比較して、30倍の多発です。
★ しかも実際の罹患率はこれ以上に高い可能性があります。その理由は、
①年齢層ごとの甲状腺検査の受診率を見ると、「事故当時16歳~18歳」の層の受診率が51%で、極端に低い。他の年齢層では81%~96%。甲状腺がんは年齢が上がると罹患率も上がります。もし「事故当時16歳~18歳」の層の受診率が80%程度であったら、がんの手術事例は更に増えて罹患率はもっと高くなる。
②計算上の問題ですが、分母を15歳~19歳の「一次検査対象者」ではなく同年齢の「一次検査結果確定者」の人数とすれば、分母が小さくなる分、罹患率はやはり高くなる。
③今後、2013年度調査地域の子どもの細胞診受診者が増えると、更に「悪性」判定が増える可能性が高い。
④今までの計算は「30万人を3年間かけて診断した」として、調査期間を一律に3年としてきましたが、各度の調査地域ごとに、検診した1年間の手術数と受診者をもとに罹患率を計算すると、下のグラフになります。これの方が真実に近いか?
あるいは、2011年度の調査地域では1年間の手術数、2012年度地域は2年間の手術数、2013年度地域は3年間の・・・、とすると、2011年度、2012年度調査地域の計算値は変わってきます。(それぞれ上のグラフの値に、1, 1/2, 1/3 をかけます。これは放射能事故の影響があることを前提にした場合です。)
【チェルノブイリと比較すると】
次は甲状腺がんの「発見数」。スクリーニング検査で発見した(福島県立医大は「自覚症状がない人も検査した」と言う)甲状腺がんの割合をチェルノブイリの場合と比較します。
原発からもっとも近いゴメリを除くチェルノブイリの放射能汚染地域と同程度か、それらを上回る甲状腺がん発見率です。
【いつまで放置するのか?!】
いずれにしても、異常多発であることに変わりはない。
福島県と県立医大は今まで、「現在見つかっているがんは、本来はヒトが成長してから見つかる可能性のあるがんを網羅的な検診によって早期に発見していると考えられる。」「原発事故の影響とは考えにくい」との見解です。この2点は表裏一体。
つまり『何も手を打たない、何もしない』という意思表示。きっと福島県も環境省も、対策をとると「放射能の影響を認めた」と言われることを恐れているのでしょう。しかしそんな理由で異常多発の事態を放置するのか? 「判らない」などとのんきなことを言っている場合ではない。
環境省の役人は「役人が動くためには理由がいる」旨のことを言いました。そして「異常な多発」を否定しようと躍起です。
私たちは福島県にも環境省にも、原因捜しは後で良いから先ず甲状腺がん対策をとれ、と要求します。1/16【金】には福島県と交渉です。
→ http://no-nukes-hokusetsu.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29-1
【『本格調査』で4人の新たな『悪性または悪性疑い』が発見された事の意味】
すでに4例の甲状腺がんが見つかって議論になっていますが、2巡目の甲状腺検査の少し詳しく公表された内容を読みました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96851.pdf
このうち3人は2011年度調査地域(伊達市、田村市、大熊町)、1人は2012年度調査地域(福島市)ですから、がん発見は3年間で3人と2年間で1人の合計4人。一方、一次検査の結果判定者は約6万人(正確な数字は60505人)。うち二次検査対象者が457人ですが、結果が出ているのはその1/3の155人なので、実質的な一次検査結果の判定者は約2万人です。クリックして拡大。↓
控え目に「3年間で4人のがん患者が新たに発見された」と仮定すると、この3年間の平均の発見率は、
★ 分母に一次検査の結果判定者6万人をそのまま使うと、
4人÷3年÷6万人×10万 = 2.2人(1年・10万人あたり) → 全国平均の2倍
(これは『有病期間』を使って発見率を罹患率と比較する方法と同じ計算です。)
★ 一次検査の結果判定者を、2次検査の結果判定者数を考慮して、2万人とすると、
4人÷3年÷2万人×10万 = 6.7人(1年・10万人あたり) → 全国平均の6倍
★ 「福島県と全国の甲状腺がん罹患率が同じ」と仮定して、ポアソン確率分布を計算すると、
・ 福島県で「3年間に6万人あたり4人またはそれ以上」の発症者が発見される確率は、13.9%.
・ 同じく「3年間に2万人あたり4人またはそれ以上」の発症者が発見される確率は、0.5%.
罹患率は分母の取り方によって異なりますが、後者では明らかに有意な差です。 ~ これは全国平均と同じ程度の罹患率である確率はきわめて低く、罹患率は全国平均より明らかに高い、という意味です。
まだ「本格検査」は中途段階ですが、”調査の進行を待って対策を採るか採らないか考える”では遅すぎる事態です。
政府は、福島県民の避難を真摯に行わなければならないが、悲しいかな避難場所がない・・・・・!
日本列島は、放射能と地震のダブルパンチを受けている!
この異常事態から逃れるためには、私たちが変わるしかない!
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