中国経由のロシア産天然ガスの購入により(元値より非常に高価になっていますが)、ヨーロッパの壊滅的な「エネルギー危機による崩壊」は避けられるのでないかというような可能性を書きました。
しかし、今日、
「イギリスは大変なことになっている」
ことを知りました。
さまざまな英国圏内のカフェなどを含む「小さな個人ショップ」への電気料金とガス料金の「請求書」の数々が載せられている記事を見たのです。
「家族経営のショップの月のガス料金が 160万?」と、さすがに思いますが、アイルランドの報道メディアでは、アイルランドの小さなコーヒーショップへの 2ヵ月分の電気料金の請求が、
「日本円で約 140万円」
だったことが報じられていまして、英国圏内の多くで起きていることのようです。
このアイリッシュタイムズの記事によれば、紹介されているコーヒーショップの昨年の電気料金は、1年間で約 12,000ユーロ (約 170万円)だったのが、現在のような請求が続いていった場合、今年は 45,000ユーロ (約 620万円)になると計算されていて、「お店を継続できるかどうかわからない」と、女性オーナーは述べていました。
それにしても、先ほどの「電気料金が 10倍」にしても、これはあまりにも極端なことではないかとは思いました。
普通はこういうことが起きないように「料金の上限設定」があるものなのでは? と思ったからです。
しかし、以下の時事通信の記事にある記述でわかりました。
ここに、
英BBCは、一般家庭と異なり、企業にはエネルギー価格の上限規制が設けられていないため、負担額はさらに膨らむ見通しだと報じた。(時事)
個人ショップでも町の小さなカフェでも、企業は企業ですので、上限がないようなのですね。この記事にも、
英ビール・パブ協会はこのほど、ジョンソン首相宛ての書簡を発表し、「ある小さな町の店は前年から3万3000ポンド(約530万円)もエネルギーコストが増えた」と指摘。業界全体に「取り返しのつかない損害を引き起こしている」と強調した上で、「政府による迅速な介入がなければ、間違いなく膨大な数のパブがその扉を永久に閉じることになる」と訴えた。
しかも、英国では、今後の見通しとして、これは家庭用電気料金ですが、料金の上限が、現行の 1971ポンド (約 32万円)から
・10月1日から 約 80%増加の 3549ポンド(約 57万円)に
上昇することが決定していて、さらに、
・来年 1月までに 5,439ポンド(約 87万円)に
・来年春までに 8,594ポンド(約 140万円)に
つまり、来年春までに、一般家庭でも、
「電気料金が今の 4倍以上になる」
ことを示しています。今でもすでに過去よりはるかに高いのにも関わらずです。
ということは、企業の電気料金とガス料金の負担もさらに高騰していく可能性のほうが高いと見られるのですが、しかし、そもそも、一般家庭にしても、来年春までに予定されている、「電気料金が約 140万円」というのは、これが年間だとすれば、月に 10万を超えますから、普通の家庭では「電気そのものを使うことが難しくなる」可能性さえあります。
こんなことを放置していたら、「イギリスに大衆伝統文化が何もなくなっちゃうのではないか」とも思います。
この記事には、英国のさまざまなショップのソーシャルメディアへの投稿が掲載されていますが、すでに閉店したお店も多いようです。
イギリスのラウダーという場所にあるブラッスリー (庶民的なレストラン)の SNS には以下のように書かれていました。
レストランを閉店せざるを得なかったことは非常に悲しいことです。
コロナでとても困難な数年間でしたが、ここ数ヶ月は生活危機によるビジネス損失、コストの大幅な増加、そして企業が請求している完全に馬鹿げた価格上限なしのエネルギー価格が要因にありました。経営を継続することはもはや可能ではなくなりました。
私たちは、過去 7年間私たちを支えていただいた素晴らしいお客様たち、サプライヤー、スタッフたちに深く感謝しています。 (Firebrick Brasserie)
こういうお店がものすごいペースで増えていると見られますが、しかし、政府が小規模企業すべてを救済するのは難しそうです。
たとえば、イギリスにはパブは 4万軒弱あるそうですが(最近 200軒が閉店して 4万軒を切ったそうです)、先ほどの時事通信の記事にあるように、前年から約 530万円もエネルギーコストが増えた
というものを 4万軒分救済すれば、それだけで数千億になり、もちろん、パブだけではなく、英国にはさまざまなカフェや小規模・中規模のショップがあり、その件数はわからないですが、パブの何倍、何十倍となるかもしれません。
それすべてを救済するとなるのは……というより、現在のエネルギー危機の影響を最も受けているのは「大手」とも思われます。
電気にしてもガスにしても大量に使わなければ、少なくとも飲食の企業や食料生産施設は運営できないですので、大企業も含めて救済するとなると、
「国家が立ち行かなくなる」
と思われます。
もう債務や借金はどの国でも限界にきているわけで、選択肢があまり考えられないような気もします。
ドイツでも、電力価格が「昨年初めの 8倍」くらいになっていて、ドイツの家庭用電気料金の上限価格はわからないですが、以下に翻訳があります。
ドイツの電気料金の推移は以下のようになっていますが、かなり多くの欧州諸国で、比較的似たような感じとなっている可能性もあります。
また、このエネルギーの高騰により、ヨーロッパにある「世界最大規模の肥料企業が次々と肥料生産を停止・縮小している」ということを最近の以下の記事で取りあげています。
[記事] 天然ガス価格高騰で次々と肥料の生産が停止。世界最大の英国肥料企業の子会社と、EUで二番目に大きなポーランドの肥料メーカーも操業を停止すると発表
[記事] 世界最大の肥料メーカーのひとつであるノルウェーの企業が、ガス価格高騰によりアンモニア生産を大幅に削減すると発表
この状態が続くと、来年からのヨーロッパの農業生産が壊滅的になる可能性があります。
少なくとも収穫量と作物の品質の大幅な低下はあると見られ、つまり、エネルギー高騰により「食料生産そのものがなくなってしまう」懸念さえあると。
それ以上に、農業生産もまたエネルギーを多く使用しますから、「農家の経営がなり立たなくなる」(あるいはもうなりつつある)ということもあります。
異常な高値の肥料と、異常な高値のエネルギー価格のもとでは、作物の価格もそれに合わせなければ農家はやっていられませんが、作物の価格を 5倍、10倍、20倍とするのは、現実的ではなく、「それなら農家をやめる」という選択をする方々が増える可能性があります。これは今なら、日本を含めて、どこの国でも起こり得ます。
生産者自体がいなくなってしまう。
先日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が、「 EU はエネルギー危機を緊急事態だと宣言」したと海外で報じられていましたので、ヨーロッパで広範囲にこの問題が広がっているのかもしれません。
もちろん、それが以下の記事にあるような「もともとの EU 側の目的」なら、グレートリセットの一環として理解できなくもないです。
ここでご紹介したカナダのグローバルリサーチの 4月の記事には以下のようにありました。
今、私たちは、確実に食糧危機とエネルギー危機に進んでいる。それは戦争と制裁のために起きた。食料価格の上昇、化石燃料の使用減少、生活水準の低下、そして、公的資金が「再生可能エネルギー」に注ぎ込まれる。
これらはすべて非常によく知られている議題の一部でもある。
プーチン、ゼレンスキー、戦争全般、またはウクライナについてどのように感じているかに関係なく、私たちが、巨大なものと対峙する時が来た。
私たちは考える必要がある。「これらのロシア制裁の本当の目的は正確には何なのか?」そして「なぜこれらはグレートリセットの内容と完璧に一致するのか?」ということを。
これがどうなのかはわからないですが、今のままだと、
「ヨーロッパが一種の焼け野原になってしまう」
ことにつながりかねないと思います。
ヨーロッパの豊かな庶民文化や、飲食酒食文化が現在実際に消えつつある渦中にあります。
小さなカフェで、毎月、数十万円の電気料金を請求されて、立ちゆくショップはほとんどないと思われます。
先ほど書きましたように、救済も難しいように思いますし、
「何もなくなる」
という可能性に直面している気がします。
これがヨーロッパだけのことなのか、日本などを含めた西側全体が多少似た状況に突入していくのかはわからないですが、対ロシア制裁が始まって、たった半年弱でここまで進んだというのは驚くべきことです。
なお、ドイツでは、小規模のお店だけではなく、「ドイツの多くの製造業者がエネルギー価格の急騰に対応して生産を停止した」ことが報じられています。
ドイツもまた、いろいろなものが消えゆく渦中にあるようです。
何かこう、まったく現実的な話ではないことですが、いろいろと思い出します。
最近のいろいろな状況を見て話が逸れますが、ブルガリア最大の預言者といわれていたババ・バンガさんという女性がいますが、2015年のデイリーメールに以下のような記載があったことを思い出します。
伝えられるところによると、バンガは、ヨーロッパは来年末までに「存在しなくなり」、ヨーロッパは「ほとんど空っぽ」になり、「生命の形態がほとんどない荒れ地」になると語った。
年代は異なっていますが、今後のヨーロッパが迎える可能性のある状況と似ていなくもないような気もしないでもありません。
デイリーメールの記事では、これは、「イスラム勢力の台頭にあるのでは」というようにしていましたが、ババ・バンガさん自身は、その理由は述べていません。
このババ・バンガさんという人は 1996年に亡くなっていますが、ブルガリア政府から綿密な調査を何度も受けており、そして、「ブルガリア政府から給料が支給される初の国家指定の公式予言者」となった方でもありますが、バンガさんは、1979年の予言として、以下のようなことも述べていました。
「すべてのものが、氷が溶けるように消え去るが、ウラジミールの栄光、ロシアの栄光は残る唯一のものである。ロシアは生き残るだけではなく、世界を支配する」
何だか最近起きているさまざまなことを見聞していますと、このバンガさんの預言もそうですが、お釈迦様の予言ともいえる『法滅尽品』というお経なども思い出します。
いろいろなことが述べられていますが、抜粋しますと、以下のような下りがあるようです。
世界が最後になる寸前には、日月が短くなる。
地球の自転速度の過去最大の上昇、磁場の崩壊、気流の崩壊、海流の崩壊、近隣宇宙の崩壊
この地球の自転速度は、実は 2017年までの数年間は「遅くなっていた」のです。以下の 2017年11月のブログ記事で、アメリカ地質学会の発表を取りあげた米フォーブスの記事をご紹介しています。
このように地球の自転速度が速くなったり遅くなったりするメカニズムはわかっていません。
……けれど、地球自身の問題ではないことは確かだと思います。
太陽系のエネルギーはますます増大しているようで、最近、NASA が、ウェッブ宇宙望遠鏡でとらえた「木星の最新画像」を公開していました。
見ますと、今の木星は「虹色に輝いている」んですよ。
その画像をご紹介して締めさせていただこうかなと思います。以下は、8月22日の NASA ウェブサイトからのものです。
ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた最新の木星の様子
NASA
この NASA の記事は、
> 巨大な嵐、強力な風、オーロラ、極端な気温と気圧の状態など、木星には多くのことが起こっている。 (NASA)
と始まります。
木星では多くのことが起きているようですが、地球も多くのことが起きています。
そして、これから地球で起き得ることは、全体と関係する問題となりそうです。
全体、というのは、すなわち、気候や環境のこともありますでしょうし、今回書いたような経済や市民の生活そのもののこともありますし、今後の(原因不明の)出生率の低下による劇的な人口の減少や、あるいは、「(原因不明の)大量死」による劇的な労働市場の人手不足は、今後 2年、3年、5年とさらに拡大すると見られます。もちろん、繰り返される感染症の流行、あるいはウイルスの干渉の崩壊による複数感染は、これからは日常的なこととなっていきます。
食べ物も企業もエネルギーも娯楽も、そして人間そのものさえもいなくなっていくという全体的なパーフェクトストームになっていく可能性があるのかもしませんし、もちろん、そうはならないかもしれません。
なお、いわゆる金融市場の激変も近づいている気配を米国などの記事の多くで目にしますが、私自身は、マーケットには詳しくないですのでふれません。しかし、いくつかの記事等を読むかぎりは、その壊滅的な激変は、かなり近くに迫っているかもしれません。
エネルギー危機から話が逸脱するに任せて逸脱してしまいましたが、全体的なパーフェクトストームが近づきつつあるようです。